2023年5月14日日曜日

パン屋さんになるまでの話 その3

2017年の暮れにバンクーバーファーマーズマーケットから届いたお知らせ。
それは1月に行われるイベントに参加してみないか、というお誘いだった。

簡単に要約すると、冬はファーマーズマーケットも閑散期であり、特に12月のクリスマスシーズンで散財しまくるこちらの経済状況を鑑みると、1月は特にお客さんの財布の紐も硬くなりがちで、1月は1年の中でも最も集客に苦労する月。
そのため、少しでもお客さんを呼び込むための新規企画として、New Vendor Boot Campを行うと。何かって普通に新しいベンダーとして招き入れるにはあとちょっと何か足りない、惜しい、というベンダーを新規申込者の中から10ベンダー選び、1月と2月のファーマーズマーケットに実際に出店、お客さんに人気投票をしてもらい、ランキングトップ3に入ったベンダーは新規ベンダーとして加入が許され、更に夏のマーケットで一番人気が高くて一番歴史の古いマーケットであるトラウトレイクのマーケットに月に一回のスポットを約束されるという賞品付き。
本来トラウトレイク(とウェストエンド、キツラノも)はたくさんある夏のファーマーズマーケットスポットの中でもとにかく客の入りが多く、ベンダーに大人気のスポットであるため、通常新規のベンダーは全くスポットをもらうことができない。まずはキャンセルスポット待ちから始めなければいけないほどスポットをもらうのが難しいマーケット。

いやぁそりゃもう飛びついたよね。
とにもかくにも売らない事にはビジネスを知ってもらえないわけで。
コンペティションに勝とうが負けようが、まずはその時の状況の私のビジネスは出るだけでも価値があることは明らか。いやもちろん出すからには勝つ気で参加するんだけど。
慌ててテントとかテーブルとかテーブルクロスとか商品用のパッケージ、テントにつけるお店の顔になるバナーをデザインして発注したり。(これは今もこの時のやつを使ってる)















この写真はガチでこのブートキャンプに参加した時の私のブース。
シフォンケーキとか、のちのうちのお店の看板メニューになる動物パン、ミルクジャムもこんなに初期から作ってたのか。。自分でも覚えてない、、
箱の中身なんだろうな、、クッキーとかかなぁ多分w
あとは野菜のピューレを練りこんだミニローフとか持って行ってますね。






この2枚目はまた別の日だけどこれもブートキャンプ参加中。
右の方に”Please Vote”の看板出してるし。
ていうかこの時のお隣が今でも仲良くしてくれているベンダー仲間のカナダ人おじいちゃんなことに気づいて驚愕した。こんな初期から仲良くしてくれていたんだなぁ。
もう5年+の付き合いになるとか。。信じられん😅
彼は手作りのケールチップスとかビーガンチーズとかクラッカーとか販売している陽気なおじいちゃんです。ケールチップス普通においしいのでオススメ。

ファーマーズマーケットに出してみてまず実感したのは、日本のパンに飢えている日本人の多さ!意外とファーマーズマーケットに通っている日本人の方は少なくなくて、そういう方たちから如何に日本のパンが恋しかったか、というお話をよく耳にした。
私はもともとパン派ではなくて、口の中の水分持っていかれる食品が苦手なので、断然ご飯の方が好きな人だったからそれでパン屋経営してるとかw パンに飢えている人がいることに全く気付いていなかったのでこれはなかなかの衝撃でした。そこに需要があるのね、と。

右も左もわからない中、とにかく思いつく限りの売れそうな商品を時間が許す限り作ってマーケットに参加。当時はまだピアノ屋さんのアドミンをフルタイムで続けていたので、月~木は普通に9時~17時で仕事をして、終わったらキッチンへ直行、深夜までできる準備をして帰って寝る。金曜は仕事の後キッチンに行ったらそのまま朝まで焼いて、全部車に乗せて徹夜のまま土曜のマーケットに向かい、設営、販売、撤収をして全部終わった後午後に家に帰ってようやく泥のように眠るという無茶をしてました。

頑張った甲斐があって、コンテストは見事2位に入賞!
無事ファーマーズマーケットベンダーの仲間入りを果たし、そのままマーケットに参加していけることに。👏👏👏

マーケットに出したとき商品は全部事前に個包装して持っていたのだけど、ファーマーズマーケットのお客さんからのコンテストのアンケートで、個別包装の環境への配慮の懸念を指摘されてしまった。
何にも予備知識なく参加したので仕方ないといえば仕方ないのだけど、確かにほかに参加しているベーカリーとか、みんな裸で陳列して、紙袋に入れて渡している。。
特にバンクーバーのファーマーズマーケットに足しげく通っている人たちって環境とかにも配慮したい人が多い。ビーガンの人も結構多い。

というわけで陳列の仕方を変えなくてはいけなくなった。
でも裸で陳列するためには保健所のルールでスニーズガードといって直訳するとくしゃみガードw商品とお客さんの間に唾とかの飛沫が飛ばないようにするためのガードを設置しないといけない。
色々調べて、下の画像見つけてまだライブラリに保存してあったw
これがいい、これを作ろう!と。





ただ工具とか何にも持ってないわけですよ。
色々調べても日本のホームセンターにあるようなDIYコーナーみたいのもないし。
それをビジネスでやってるとこも見つけたけど使用料で工具買えるわ!ってくらい高いし。
ホームセンターで木材を買うと切り分けてくれるサービスはあるものの、そもそもそれって売ってる木材があほみたいに大きいのしかないので車に乗るように大まかに切り分けてくれるという程度のサービスで、よくよく聞いたら斜めに切る、みたいなデザインカットはできないといわれ、、、
もう仕方なく工具買って自分でやったよね。電動の丸ノコとか(あのじゅいーーーーんってめっちゃ大きな音する電動のこぎり)、普通ののこぎりも、アルミとか切るためのノコギリとかも。。
やれる場所もないからうちのアパートの地下駐車場の自分の車用スペースで車を少し前に出して後ろにスペース作って、っていう。。
日本でも父の仕事がそもそもそっち系だったし日曜大工のようなことも多少やっていたけど、日本っていろんなサイズの木材がプリカットされて売っていたりするから、さすがに自分で丸ノコ使ったことはなかったw 父は持っていたから実家にはあったけど。

仕上がったのがコレ。





このままのサイズだとうちの車には乗らないので、一応分解できるように作って。
結構頑張りましたよねw自分で言うのもあれだけど。。w
何が言いたいかって、経営してるとほんとに何でも自分でできないと、困ることたくさんあります。。このディスプレイづくりはそのジャーニーのまだまだ序の口だったと後で知ることになる、と。w


この頃のマーケットラインナップを撮影したビデオも出てきました。
これはホットクロスバンを売ってるんで多分3月ころのマーケットですね~。




 まぁこうしてかなでるは一応パン屋さんとしての道を歩き始めました。
まだしばらくは、実店舗のない、基本的にはオンラインとイベントやマーケットでの参加でのみ販売するパン屋さんです。

借りていたキッチンに少し販売できるようなスペースが併設されていたので、何度かポップアップみたいなことはやりましたが、それ以外では本当に基本的にイベントとマーケットで生き延びていました。それでもカスタマーベースはじわじわと増え、そのうち日系のスーパーなどにも卸し始め、じわりじわりとファンが増えていってくれた数年間でした。

今の店舗を出したのは2020年の12月から。
計算するとほぼ2年はその状態でコツコツとがんばった感じですね。
もちろん店舗を手に入れるまでにもいろいろありましたし(コロナも!)、店舗を手に入れてからももっともっといろいろありました。
そのお話はまた、別の機会にお話ししたいと思います。




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